フローサイトメトリーの基本能力の1つとして、個々の粒子の性質を解析できることが挙げられます。サンプルがフローサイトメーターに入ると、サンプル中の粒子はサンプルラインの3次元空間にランダムに分布します。サンプルラインの直径はほとんどの細胞の直径よりも何倍も大きいため、それぞれの粒子を機器の検出系で解析できるような単一縦列の流れにする必要があります。このプロセスは流路系によって制御されます。
流路系はサンプルが注入される中心コアと、その外側を包むシース液によって形成されます。(ノズルまたはキュベット内で)シース液が細くなることにより流速が増します。サンプルはその中央に導入され、ベルヌーイ効果によって集束されます(図1)。これにより、粒子が一列に並んだ流れを形成することができ、これを流体力学的絞込み(hydrodynamic focusing)と呼びます。最適条件下(Laminar flow, 層流と呼びます)では、中央のサンプル液とシース液は混ざり合いません。
流体力学的絞込みがなければ、キュベット(通常、250×250μmまたは180×480μm)またはノズル(通常、70-130μm)内で集束した細胞の流れが形成されず、単一細胞での解析は不可能です。 流体力学的絞込みにより、細胞は一列に並んだ流れとなり、インテロゲーションポイント(interrogation point;レーザー照射点)と呼ばれる光路との交点を通過することで、1細胞単位での解析が可能となります。